0. 現在の位置:市場・競合
商品企画7プロセスの3番目。前2プロセスで特定した「課題」と「ペルソナ」をもとに、市場・競合・自社の3視点で立ち位置を決める。
「課題」と「ペルソナ」だけでは商品は売れない。市場の大きさ・競合・自社の立ち位置という3視点で「ここなら勝てる」場所を見極める。
ここがいけてないと、せっかくのアイデアが「すでに大手が押さえてた」「市場が小さすぎた」で失敗する。
1. 市場・競合とは何か
ひとことで言うと: 「お客さん・ライバル・自分」の3者を見て、自分の立ち位置を決める作業。
3つの視点で見る理由
- Customer(市場):ペルソナに似た人がどれくらいいる?→ 商売になる規模か?
- Competitor(競合):既にどんな商品がある?→ なぜ山本さんは満足してない?
- Company(自社):既存とどう違うものを作れる?→ どこなら勝てる?
3視点を飛ばすとどうなるか
- 市場を見ないと → 「商品作ったけどユーザーがいなかった」
- 競合を見ないと → 「既に同じ商品があった」「価格で勝てない」
- 自分を見ないと → 「差別化できず埋もれる」
2. このプロセスで使うフレームワーク
市場・競合では「3C分析」を中心に、最後にポジショニングマップで立ち位置を可視化する。
フレームワークとは、思考時の「型」または「補助輪」を指す一般用語。自由発想は迷子になりやすいため、先人が体系化した手順を借用する。
「市場・競合」プロセスで使用するフレームワーク2選
| フレームワーク | 機能 | 使用ステップ |
|---|---|---|
| 3C分析 | Customer(市場)・Competitor(競合)・Company(自社)の3者を整理する | ステップ1〜3 |
| ポジショニングマップ | 縦軸・横軸で「自分が立つ場所」を視覚化する | ステップ3 |
規模感は?
既存品は?
どこで勝つ?
自社の勝ち筋
3頂点(Customer / Competitor / Company)で市場を観察し、
中央=自社が勝てる戦略ポジションを発見する
3. 30分で完了する3ステップ
市場・競合は3ステップで完了する。各10分、合計30分(目安)。
市場サイズ推定
👥
競合調査
🔍
立ち位置決定
🗺️
次ページ以降、各ステップを順に解説する。
1Customer:市場サイズ推定
ペルソナに似た人が日本にどれくらいいるかを推定する。所要時間10分(目安)。
使用フレームワーク
3C分析(Customer)+フェルミ推定
フェルミ推定とは「正確な数字は分からないけど、論理的に概算する方法」。例「日本のコンビニ数は?」を、人口・需要から5〜6万店と推定するイメージ。
なぜやるのか
「困っている人がいる」だけでは商品化の妥当性は不十分。何人いるか・年間いくらの市場かを概算することで、商品の事業性と開発投資の妥当性が見えてくる。桁感が合っていれば判断材料として十分。
手順
- ペルソナの属性を絞り込み条件に分解する
- 各条件を満たす人口を統計データから推定する
- 掛け算で対象市場の人口を推計する
- そのうち何%が買うかを仮定して、市場規模を出す
フェルミ推定の記入例(山本さん≒徹底防衛派アレルギー持ち市場)
| 絞り込み条件 | 割合・人数 | 累積人数 |
|---|---|---|
| 日本の総人口 | 約1.2億人 | 1.2億人 |
| うちアレルギー疾患保有(花粉症含む) | 約47% | 約5,600万人 |
| うち通年性ハウスダスト・ダニ・カビアレルギー | 約30% | 約1,700万人 |
| うち中等症〜重症(医療機関受診あり) | 約20% | 約340万人 |
| うち徹底防衛派(マスク・ゴーグル等本気装備で掃除) | 約15% | 約50万人 |
→ 山本さんに似た「徹底防衛派アレルギー持ち」は約 50万人。仮にその5%が買ってくれる商品なら、2.5万人の市場規模(=月10枚×30円×12か月=年3,600円/人で年商9,000万円)。
✏️ やってみよう (ステップ1: Customer 市場サイズをフェルミ推定)
2.顧客理解で作ったペルソナに該当する人が、日本に何人いるかを絞り込みで推定してみよう。桁が合っていればOK。
| 絞り込み条件 | 割合・人数 | 累積人数 |
|---|---|---|
| 項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 対象人口 | |
| 想定購入率 | |
| 単価×頻度 | |
| 年商規模 |
3C分析(Customer)フレームワークをAIで加速する方法(5選)
フェルミ推定の数字はあくまで概算。「桁が合っていればOK」くらいの感覚で。100万人なのか1万人なのかが重要。具体的な数字より、市場の大小を直感的に掴むことが目的。
2Competitor:競合調査
既存品の強み・弱みを調べて、自社が攻めるべき隙間を見つける。所要時間10分(目安)。
使用フレームワーク
3C分析(Competitor)
同じ困りごとを解決する既存商品やサービスを3〜5社調べて、特徴・強み・弱み・価格帯・ユーザーの不満を整理する。
なぜやるのか
既存品の強み・弱みを知らずに作ると「すでにある商品」を作ってしまうリスクがある。特に★1〜2の低評価レビューに共通する不満を把握することで、自社が攻める「差別化の隙間」が見つかる。
手順
- Amazon・楽天・Yahoo!ショッピング・SNSなどで「[ペルソナの困りごと]+商品」で検索し、上位の競合を3〜5社ピックアップ
- 各社の特徴・価格帯を整理
- ★1〜2のレビューを読み、「ユーザーが不満に思っている点」を抽出
競合調査の記入例(アレルギー対策×掃除市場)
| 競合カテゴリ | 強み | 弱み | 価格帯 | ★1〜2の不満 |
|---|---|---|---|---|
| ハンディモップ (クイックルワイパー等) | 手軽・低価格・使い切り型あり | 保持限界で「ホコリの雪崩」 | 200〜500円/本 | 「拭いたそばから舞う」「重力で落ちる」 |
| サイクロン掃除機 (ダイソン等) | 強力吸引・水洗いOK | 排気で粉塵再飛散・ダストカップ廃棄が地獄 | 3〜10万円 | 「ゴミ捨てでアレルギー反応」「排気が気になる」 |
| 使い捨て手袋 (ニトリル・ゴム手袋) | 低価格・衛生的 | 掃除特化なし・「集める」発想が無い | 5〜30円/枚 | 「ホコリが手首から侵入」「破れる」 |
| 空気清浄機 (ダイキン・シャープ等) | 浮遊粒子を24時間捕集 | 掃除中の局所被曝には間に合わない | 2〜8万円 | 「気休めにしかならない」「フィルター交換高い」 |
→ 共通の不満は 「『集めるだけ』で、廃棄時の防護設計が無い」。ここに自社が攻めるべき隙間がある。
✏️ やってみよう (ステップ2: Competitor 競合の強み・弱み調査)2026.05実施対象
自分のテーマに近い既存品(競合)を3〜5社調べてみよう。特に★1〜2の低評価レビューに共通する不満が「攻めるべき隙間」になる。
| 商品名 | 強み | 弱み(攻めどころ) | 価格 | ユーザーの本音 |
|---|---|---|---|---|
| 項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 共通する不満 | |
| 攻めるべき隙間 |
3C分析(Competitor)フレームワークをAIで加速する方法(5選)
競合調査で最も価値があるのは★1〜2の低評価レビュー。ユーザーの本音の不満が書かれている。「ここに自分のチャンスがある」と気付ける宝の山。良いレビューは見なくていい。
3Company:立ち位置決定
競合が空けている象限を見つけ、自社の立ち位置を決める。所要時間10分(目安)。
使用フレームワーク
3C分析(Company)+ポジショニングマップ
ポジショニングマップとは、2軸(例:価格×品質)に競合と自社を配置して、「自社が攻めるべき空白象限」を可視化するフレームワーク。
なぜやるのか
競合と同じ場所で戦うと、価格競争か機能競争で消耗する。空白象限(競合がいない場所)に立つことで、戦わずに勝てる「独自の立ち位置」を確保できる。これが商品の差別化の核になる。
※ 自社は競合のいない空白象限(右上=①)を狙う
手順
- 競合調査結果を踏まえ、差別化できそうな2軸を選ぶ(例:予防/対処 × 集めるだけ/完全防護)
- 2軸の4象限に競合を配置する
- 競合がいない空白象限が「自社の立ち位置」
- その立ち位置で「ユーザーに提供できる価値」を1行で言語化する
ポジショニングマップの記入例(アレルギー対策×掃除市場)
| 集めるだけ(廃棄時の防護なし) | 廃棄まで完全防護 | |
|---|---|---|
| 予防アプローチ | 防カビコート、防ダニ寝具 (発生抑制に振る、対処は別) | 空気清浄機 (浮遊段階で捕集、ただし完全防護とは言えない) |
| 対処アプローチ | ハンディモップ、サイクロン掃除機、使い捨て手袋 (集めることが目的、廃棄は気にしない) | ★ 自社の立ち位置 ホコリを封じ込めて逃さないウェットな手袋 (集めた後の防護まで一気通貫) |
→ 自社の立ち位置:「対処×完全防護」=ホコリを封じ込めて逃さないウェットな手袋。予防はレッドオーシャン(大手多数)、対処の中でも「集めるだけ」の競合はあるが、「廃棄まで完全防護」する商品は市場に存在しない。
✏️ やってみよう (ステップ3: Company 立ち位置をポジショニングマップで決定)2026.05実施対象
ステップ2の競合を、2軸でマッピングしてみよう。競合がいない空白象限が、自社が立つべき場所。最後に「自社は誰に何をどのように提供する」を1行で言語化。
| 項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 縦軸(例: 価格) | |
| 横軸(例: 機能) |
| 項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 空白象限 | |
| 自社の立ち位置(1行) |
3C分析(Company)+ポジショニングマップ フレームワークをAIで加速する方法(5選)
- 「空白象限がない」と感じたら、軸を変えて再挑戦する。価格×品質だけでなく、サイズ×設置場所、対象層×用途、デザイン×機能、いろんな軸がある。
- 2軸の組み合わせを3〜5パターン試すと、必ずどこかに空白が見つかる。
4. 次のプロセスへ(市場・競合→アイデア発想)
本プロセスの成果物と、次プロセスでやること。
本プロセスでできあがるもの
- 市場サイズの推計:対象人口・年商規模
- 競合マップ:競合3〜5社の強み・弱み・価格帯・不満
- ポジショニングマップ:自社の立ち位置(空白象限)
- 差別化ポイントの1行言語化:「自社は誰に何をどう提供するか」
次プロセス「4. アイデア発想」でやること
本プロセスで見つけた「自社の立ち位置」を起点に、具体的な商品アイデアを発散させる。SCAMPERという7つの問いを使って、ユニークなアイデアを大量に出すフェーズ。
+α:もっと市場・競合の精度を上げたいときは
本編3ステップで市場・競合は完成可能。さらに深く取り組む場合の4項目。
市場・競合について「より精度の高い市場規模を出したい」「網羅的に競合を調査したい」場合にトライする。
+α ①:詳細フェルミ推定
本編のフェルミ推定を、より精度高くやる方法。
[1] 複数仮定の比較ケース分析
保守ケース・現実ケース・楽観ケースの3パターンを出すと、リスクの大きさが見える。
- 保守ケース:購入率1%、単価3,000円
- 現実ケース:購入率5%、単価3,000円
- 楽観ケース:購入率10%、単価3,500円
複数仮定ケース分析のAI活用プロンプト
[2] 統計データの引用元を明示
- e-Stat(政府統計の総合窓口):国勢調査・家計調査
- 住宅・土地統計調査:賃貸/持ち家の比率
- 家計調査:世帯あたりの年間支出
統計データ引用のAI活用プロンプト
[3] TAM/SAM/SOMの三層分析
- TAM:理論上の最大市場(=潜在市場全体)
- SAM:自社がアプローチ可能な市場
- SOM:現実的に獲得可能な市場(=シェア率×SAM)
TAM/SAM/SOM三層分析のAI活用プロンプト
+α ②:AI活用の発展
本編のAI活用に加え、より高度な使い方。
[1] 複数AIに同じ質問を投げて比較
ChatGPT・Claude・Geminiに同じ競合調査プロンプトを投げて、3つの回答を比較すると、抜けや偏りに気付ける。
複数AI比較のベースプロンプト
※ 上記プロンプトを ChatGPT・Claude・Gemini にそれぞれ投げて、結果を見比べる。AIごとに「拾う情報」「強調する観点」が異なるため、共通点=確度の高い情報、相違点=要追加調査の領域、と判断できる。
[2] 競合の創業者・経営者発言の収集
競合がインタビューや公式ブログで「これからの戦略」「自社の強み」を語る発言をAIに収集させる。「自社の弱みを認めている発言」があれば特に重要。
創業者・経営者発言収集のAI活用プロンプト
[3] 競合の特許・知財調査
競合が押さえている特許や知財を、自社が侵害しないため概要を調査。
特許・知財調査のAI活用プロンプト
[4] 競合の決算情報からの逆算
上場競合の決算資料から売上・成長率を抽出、市場全体の規模逆算。
決算情報からの逆算分析プロンプト
+α ③:DeepResearch戦略
DeepResearchを使った統計データの裏取りで、市場規模の精度を上げる。
市場・競合プロセスでの推奨DeepResearch回数
- 1〜2回:基本的な市場規模調査(政府統計の収集)
- +1回:競合の決算・公式発表の収集
- +1回:海外類似市場との比較(参考データ)
無料月5回のうち、本プロセスで2〜3回使う想定。
市場規模調査プロンプト
なぜ「人間が考える」を先に持ってきているか(市場・競合版)
市場・競合プロセスにおいても、「人間が先、AIが後」を採用する理由。
市場・競合をAIに全任せすると、こんなことが起きてしまう
- AIが出す市場規模が 「ぽい数字」止まり:根拠の裏取りができていない
- 競合調査が 大手の表面情報のみ:ニッチプレイヤーや海外プレイヤーが抜ける
- ポジショニングマップが 当たり障りない:既存の常識的な軸でしか描けない
人間が「自分の事業として攻めたい市場」を持って初めて、AIの調査結果を「これは違う」「これは使える」と判断できる。
人とAIの組み合わせ方を、自分の言葉で語る
これから先、就活でも仕事でも「AIをどう使っているか」を聞かれる場面が増える。以下のような言い方ができると、人とAIの組み合わせ方を自分の言葉で語れる。
△ 「AIでやりました」
→ 「自分では考えることができない」とみなされてしまう可能性
アピール例
- ✅「AIに複数案を出してもらい、人間が選びました」
- ✅「AIにまとめてもらったものを、人間が判断しました」
- ✅「AIで大量に案を発散させた後、自分の感覚で絞り込みました」
- ✅「人間が問いを考えた上で、AIで加速しました」
- ✅「AIを壁打ち相手にしながら、自分で結論を出しました」
- ✅「最初に自分で仮説を立て、AIにその弱点を指摘してもらって気付きを得ました」
- ✅「案をAIに批判してもらい、その批判に反論できる案だけ採用しました」
- ✅「AIの仮説を、自分の体験で検証しました」
- ✅「AIが見落としがちな『生活実感』を、人間側で補強しました」
- ✅「複数のAIに同じ問いを投げ、回答の共通点・相違点から精度を上げました」
- ✅「AIの出力を鵜呑みにせず、情報源・根拠を調べるようにしました」
- ✅「AIで効率化して浮いた時間で、より重要な作業に集中しました」
→ AIを使いこなしてる人
市場・競合において、まず人間が取り組み、その上でAIを活用する進め方まとめ
- まず自分でペルソナの属性を絞り込み条件に分解する
- 自分で大まかな市場規模(桁感)を当てる
- AIに統計データを引用させて、推計を補強
- 競合は人間が3社まで自分で当たる(購入レビューも自分で読む)
- 残りをAIに補完させる + ポジショニングマップは人間が最終判断
【まとめ】市場・競合プロセスの3ステップ
市場・競合プロセスでやる3ステップの確認。
市場サイズ推定
👥
競合調査
🔍
立ち位置決定
🗺️
所要時間 合計30分(目安)。
自社の立ち位置が決まったら、次プロセス「4. アイデア発想」で具体的な商品アイデアを発散させる。